ミッドナイトニッポン
サッカー日本代表戦を観た。
あ、なんか現地まで行って観てきた感ある書き方になってるけど、普通にテレビで。
日本代表の行方が気になっていた友人から、
「仕事終わった!点入ったかな?」と連絡があったので、
「点…入れられて…る」
「前半32分、0-1。マケテル」と悲報を告げると、そこからずっとLINEが続いた。
スタメンを伝え、現状を実況し、もはやわたしはLINE界の松木安太郎と化していた。
なんだその不安な二つ名。
後半に入り家に着いたらしき友人に引き続きLINE界の松木安太郎ことわたしが実況を続けていると、友人から電話がかかってきた。
同じサッカー観てるんだしもはや一緒に観よう的な流れだった。
まだ携帯電話を持っていなかった20年前ではあり得ない状況に感動した。
別の場所にいるのに同じテレビを観ながら通話する事で、なんか隣で一緒に観て盛り上がっているみたいな感覚。
文明、すごい。
後半になって動きの良くなった日本代表を観ながら、そんな事を思っていた。
試合は終わった。
しかし、通話は続く。
友人の仕事がどうだったとか、休みのわたしが今日一日何をしていたとか。
ちなみに友人は繁忙でハイパー残業をかましており、
わたしは休みだったので家事読書YouTubeの一日だった。
というか、ほぼYouTubeだった。何やってんだ。何も生み出さずに一日終わった。
そのまま話は続き、なんだかパーソナルな話になった。
わたしはとにかく自分に自信がない。
顔もスタイルもファッションもセンスも、とにかく何もかもに自信がない。
加えて、お付き合いする男性をことごとくダメにする、気がする。
人をダメにするなんとやら、だ。
人のために何かをするのがとても好きだ。
自分の時間を割いてでも、相手のために何かしたい。
相手の笑顔を見るためには自分の時間や労力を惜しまないタイプの人間である。
こう書くととてもよく出来た人間のようだけど、全然そんな事はない。
相手の喜ぶ顔が見たくて色々してあげてしまう余り、相手がどんどん堕落していってしまうのだ。
甘えられるのは大好きだ。しかし、堕落させるのはまずい。
結果的にわたしが人を甘えさせる、誰かのためにする行為は、自分が気持ちよくなる為の自慰行為に過ぎないのではないか、と最近考えるようになった。
と、そんな話を友人にした。
友人も困るだろう、そんな事話されても。
聞き上手の友人で良かった。
人と一緒にいるメリット、デメリットなど人付き合いの話になった時、友人がぽつりと言った。
「私はあなたに何を与えられるんだろう?」
おぉ。それはつまり、わたしが友人と一緒にいる(友人でいる)メリット、という事かな?わたしは即答した。
「安心感。」
友人は自立している。それは実家を出ているとかそういう意味ではなく、精神的にという意味でだ。
自制が出来たり、考えに一つの芯があったり、信念を持っていたり。
とにかく友人は自立している。わたしが甘やかしても、堕落しない。
そういう点で、わたしが寄りかかっても平気だという安心感がすごい。
人を甘やかしちゃうから、ついついわたしは全部自力でやって自力で立たないといけないと思ってしまう。
その感覚を手離してくれたのがこの友人だ。
安心感すごい。を繰り返すと、
友人はとても照れ臭そうに、でも嬉しそうにしていた。
逆に質問した。
「わたしはあなたに何を与えられてる?
というか、わたしといる事でどんな物をもらえると感じる?」
質問が回りくどくて慌てる友人が即答した。
楽しさ。
…楽しさ?え?楽しいですか、わたしといるの…。
自分に自信がないマンのわたしには有り難すぎるお言葉。
理由を問えば、とにかく話題に事欠かない、ずっと笑ってる、明るい、なんか放っといても遊びの行き先を決めてくれる等、有り難すぎて友人宅の方向に五体投地でお礼をしたいレベルだった。
そうか。
今まで自分という人間は誰かの為に動ける、みたいな所が長所だと思っていたけど、
人から見たら“楽しさを与えられる”というアビリティもあったのか。
なんか、聞いてよかった。安心した。
と、安心感すごい友人にまた安心させられたのだった。
特技は、虚空からでも話題を引っ張り出して話し続けられることです。
明日から履歴書にこう書こう。
いつもあなたに楽しさを。エンジョイユアライフをお手伝いするmomocofffです。
キャッチコピーはこれにしよう。
などというしょうもない事を考え、夜も更けたので電話を切った。
誰かと話をするって、いいな。
そう思ってスマホの画面を見ると、
【通話時間:5時間14分】と表示されていた。
深夜の馬鹿力2回半ぶんくらい喋ってんじゃん。
オールナイトニッポン始まってゼロ超えて朝ぼらけまで終わるレベルで話してんじゃん。
さすが虚空の錬金術師。
次からは会って話そう。そう思ってスマホの画面を閉じた。